エロスの彼方の世界─サド侯爵
UN MAS EROTICO : SADE

オクタビオ・パス著 西村英一郎訳/Octavio Paz

1997年7月10日/土曜美術社出版販売/エッセイ集


"1949年、私はサド侯爵を知った。私は、驚嘆と恐怖、好奇心と不快、讚歎と承認をもって読んだ。1947年、私は興奮した詩を書いた。1960年には彼の思想を吟味するエッセイを、1986年には彼の人物と作品に対して私が感じ、考えていることの要約であるもうひとつのエッセイを。この小冊子は、彼を理解するための三つのエッセイを集めたものである"(オクタビオ・パス)

上記に引用した著者の言葉どおり、ノーベル文学賞受賞作家であるパスによるサドに関する三つの作品を収録した本。サドと出会い、その素直な印象を詩にした「囚われ人」から、サドへの更に深い認識に向けて二つのエッセイが続く。真ん中の本と同タイトルの「エロスの彼方の世界」が最も興味深く、「エッセイ」というより、詩的な論文という印象。エロティシズム→人間性→自然→悪。サドが文学によって世の中に覚醒しようとしたものは何か、エロスの彼方の世界にある、サドの否定の哲学を分析している。ボーヴォワールやクロソフスキーやロラン・バルトのように、ガチガチのサドの研究書という訳ではないが、単なる散文には難すぎる。マニア向け?

(ザッピー浅野)


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